写真集 生きる 

写真集 生きる
■発行(株)新潮社
■編集 公益社団法人日本写真家協会
■定価 2800円(税別)

とにかく豪華なメンバーである。解説は伊集院静先生、題字は田沼武能会長である。同じタイトルで写真展も東京、仙台で開催中やが、日本写真家協会が総力を上げて編集とうたうだけあり、豪華なのは大家の先生方の作品を掲載しているだけやない。被災地に116名の会員を擁する協会でけにあの震災前の美しい光景だけやなしに文化、歴史まで地元会員の作品を掲載している。わしも拙著「再起」で掲載した1ッカトを提供させていただいたが、わしの作品なんぞ霞んで見えるぐらいの素晴らしい作品ばっか、特に地元会員の震災発生直後に撮られたものはもう迫力というより、恐ろしさがよみがえる、もうどうやって撮ったんや、撮った会員は生きているのかと不安になるほどである。他にはあの震災後に誰もが目にし、あの鈴木宗男元衆議院議員が号泣したという大手新聞社の写真部員が撮った作品や、地元紙の通信員のきめ細かい取材上の作品まで、女川町出身の中村雅俊主演でドラマにもなった石巻日日新聞の手書き新聞も背表紙裏に掲載されている。なお手書き新聞は写真展会場で実物が展示されてた。伊集院先生の解説もしぶくこれからの「生きよう」という希望も持てるし、作品の後半は苦しくとも明るい。