おひとりさま自衛隊 いざ志願! 

おひとりさま自衛隊 いざ志願!
■著者岡田真里
■発行文藝春秋
■定価619円(税別)

月間MAMORに著者が連載していた「ヨビジホになってみた」が文藝春秋から単行本化されたさい、同じ文藝春秋で出している「本の話」に解説を寄稿させてもろうたが、このたびの文庫化では巻末に解説を寄せさせてもろた。巻末に「本の話」に加筆したとあるとおり。単行本の時と文庫の際の大きな違いが東日本大震災の発生である。著者が予備自衛官をめでたく拝命し、予備陸士長まで昇進した後、単行本を出版、さらにその後東日本大震災が発生したが、その際予備自衛官陸士長の著者にも緊急呼集に応じる覚悟はあるか、打診を受けたという。まあ入隊の動機が酔った勢いだったとはいえ、予備自衛官を拝命したときには、その覚悟ができていた著者が「まさにこういうときのために訓練をうけてきた」と直ちに「呼集には応じるつもり」と答えている。そのいきさつや、単行本出版後の著者の身に起こった変化、多くの駐屯地で大人気になった等が加筆されている。ので解説も東日本大震災への自衛隊災害派遣について加筆した。結局は召集され、それに応じて、災害派遣されたのは元自衛官で構成された即応予備自衛官たちであった。わしも多賀城駐屯地で緊急呼集された即応予備自衛官部隊を取材したが、東松島では米海兵隊のシャワー施設で通訳幹部として呼集され派遣された女性予備自衛官にもお目にかかった。まあ単行本同様、出だしはええかげんやが、著者がきびしい訓練を通じ、肉体的にも精神的にも日に日に成長していく過程は興味深いし、第一シロート感覚のおかげでわかりやすいはおもろい。それでも27歳の女の身でようがんばったと応援したくなる。