週刊 SPA! 12月31日・1月7日 合併号

週刊 SPA! 12月31日・1月7日 合併号
■発行 (株)扶桑社
■定価 400円(税込み)

巻頭の勝谷誠彦氏の「ニュース バカ一代」のコラムに写真を掲載してもろた。先日テレビでは粛清とかいうとるが、はっきり言って処刑された張成沢の写真である。この当時はわしが撮ったこの写真が地球上で唯一の張成沢の写真であった。その後2代目金正日の葬式や3代目の金正恩の後継人として、西側にも顔が知られるようになりわしのこの写真の価値も暴落したが、このときまで初代金日成の娘婿でありながら、朝鮮労働党の最高幹部でありながら、中国共産党の走狗、金日成、正日のパシリの顔写真が世界に一枚もなかったのである。まあ北の超VIPでありながらも最近のTVニュースでも張成沢を「チャンソンタク」と呼んどるが、わしらの間のコールサインは「ちょーなるさわ」である。その後ロシアのハバロフスクで再度この張成沢と金正日の3番目の女房、金玉といっしょのとこという大スクープも上げたが、そのときはすでにこいつの写真はだいぶ流通しており、たいした扱いも受けんかった。ただこの写真のときは違った。これが撮られたのは91年9月今から20年以上前の成田空港ターミナル。当時は顔すら知られてなかった人物なのに、どこからわしに回ってきたかは知らんし、言えんが、北京から到着する便から来日する北朝鮮訪問団を撮れというもんであった。ターゲットはもちろんこいつ。ただ当時は顔が分からんかったので、団長のみならず、代表団全員を押さえろ、できればでなく、必ず全員を、であったことだけははっきり記憶している。なんや雲つかむような話やが、場所は成田空港しかも到着ゲートあとで出入国審査後の到着ターミナル。五輪メダリストが帰国したり、ハリウッドのイケメン俳優が来日したときな、ファンでも誰でもが立ち入れる到着ターミナルである。まあそんなにむずかしい仕事にもなるまいと、同僚カメラマン2名と出動した。ちなみになぜか記者は行きたがらず。嫌ーな予感がしたのもはっきり記憶している。誰でも立ち入れる場所とはいえ、相手が相手、話も日本語も通じる相手やないので、念のため空港公団に取材意図を報告、立ち入り制限区域やないので、空港腕章も必要ないし、どうぞご自由にと、まあ当たり前のことを言われただけであった。当時は北京からの中国航空便は少なく、到着予定時刻1時間前にはあの民族衣装姿のネーチャンが花束抱えて現れた。ああ、これで間違いないわ、ターゲットはこの便から降りて間もなくここに現れると確信して、ゲート前に脚立を立てた。問題はそのとき起こった。「どこのもんだ?」とどこにこんだけグルがおったというぐらい在日やろかむこうのばりばりやろか脚立を取り囲まれた。早稲田にある大学の教授を名乗るおっさんなんか「誰から聞いた?」とわしに問い詰めるしまつ、それじゃあターゲットが現れれそれがかなりの大物やと自ら認めたようなもんやが、同僚はそのまま一団から脚立から引きずり降ろされ、そのまま取材が済むまでとうとう現場に帰ってこなかった。取材が終わってほうほうの体で帰ってきた同僚が言うには「ちょっと外で話し合おうとターミナル外に連れ出されるや、車が現れ連れ込まれそうになったのを振り払い逃げ回っていたという。日本人拉致が明らかになるのはこの後やが、相手は拉致が得意の連中や、あのまま連れ込まれていたら、同僚は朝鮮半島にそのまま拉致、なぞの失踪でかたずけられとったやもしれんかったのである。また当時はオウムのときもそうやったが、こんな時に限って警察官の姿が全く見えんのである。当時関東圏で唯一の国際空港のターミナルでである。当然公安警察はどこぞから見てるやが、公安部は表に出てこんから助けてくれん。ほならおまえはどないやったや、と言えば、脚立を立て目だったのがギリギリやったため、騒ぎを起こせんかっただけやったのである。まあこれはロシアで金正日を撮ったときも同じ、金正日の警備の北朝鮮ゴロツキSPもどきは金正日が現れる前は必死に仕事しとるふりするため日本人カメラマンなんぞ見つけようもんならなりふり構わず排除しようとするが、本人に近い距離に現れてしまうとトラブルの責任とらされから、見ないことにしてしまうという哀れな性格なのである。来日歓迎セレモニーは来日団の朝鮮人が中国人みたいに自らが拍手しながら到着ターミナルに現れ、朝鮮民族衣装をはおったネーチャンが訪日団代表らしきおっさんに花束渡し、花束受け取ったおっさんらが挨拶したりしてあっさり終わった。その間10分ぐらいか・・・その間まんべんなくその様子を押さえ、特に花束受け取った代表らしきおっさんを念入りにあらゆる角度で押さえた。あとは歓迎団、訪日団ともいっせいに引き上げだし、「全員を押さえろ」という上からの指示を我に帰って思い出し、訪日団を一人一人押さえた。かくして大物ターゲットは・・・最後のカットに写っていた。なんと訪日団のケツにおり、訪日団にまぎれ目立つわしのレンズから巧みに隠れ、ダブって写っているカットも一枚もなかった。旅券も当然偽名であった。かくしてこの写真が長く世界でたった一枚の「張成沢」の写真となった。他にはあの「ナニワ金融道」が新と銘打っていまだ連載続いてるで。作者の青木雄二氏な亡くなってるからアシスタントだった方々がつづけてられるのであろう。まあ「クレヨンしんちゃん」みたいなもんか。表紙には岡田准一、最近上映始まった「永遠のゼロ」の主人公「宮部久蔵」役を演じた。わしも百田尚樹氏の原作読んで感動したが、映画化でけっこう失望することが多く、まだ観てない。知り合いが結構観にいったが、「いい出来」とのこと。特に女性のすすり泣きがそこらじゅうで響いていたといっていた。とはいえデートで観る映画ではないやろ。ジャニーズ事務所のタレントが主演した映画では「硫黄島からの手紙」もあるが、あれはよかったから今度もええんやろか・・・でも小説読んだあとのわしの「宮部久蔵」のイメージはどうも「健さん」のイメージなんやけど、健さんもすでに80歳やし、やっぱむりか。