J Ships ジェイ・シップス Vol.55 2014年冬号

J Ships ジェイ・シップス Vol.55 2014年冬号
■発行 イカロス出版
■定価 1429円(税別)

2014年 最後のジェイ・シップスに掲載されたのは台風30号に襲われたフィリピンへの国際緊急援助隊の派遣取材。この歴史的派遣になぜか日本メディアは、まあ当たり前とはいえ、すさまじい被害とフィリピンの離島事情の不便さ、復旧が遅々としてすすんでないやのことばっか。日本が戦後最大規模の陸海空の統合大部隊を派遣やったことなど二の次、普天間からオスプレイがひとっ飛びしたことや、米軍が毎度の緊急展開したことも三の次。実は昭和19年にここ同じレイテ湾で日米が総力あげて、死力を尽くした大作戦を実行、日本は空母機動部隊をおとりにしてまで戦局逆転を図ったものの、レイテ湾を目前にして、無傷のもうひとつの主力の機動部隊、栗田艦隊が謎の反転、日本はこのレイテ島とその海に幾万もの将兵が散華した。多くは英霊となり靖国に祀られたが、いまだ遺骨の収集もままならんほどのジャングルがレイテ島を覆い尽くしている。そこに69年振りに旭日旗を翻えした「いせ」「おおすみ」「とわだ」の3隻からなる現在のヘリ空母型護衛艦を旗艦とする機動部隊を派遣するのである。それをまあ、現地レイテ島、派遣部隊の陸上拠点のセブ島に内地から駆けつけたメディアの少ないこと。オスプレイのこととなったら、ペットボトル一個落としただけで、大事故につながるとオーバーに騒ぐ沖縄のメディアもゼロ。あんなに近いのに。予算ないんやろか?まあ米軍や自衛隊が活躍する現場には絶対来ないんや。ていうか見ても、撮っても沖縄県内では紙面化されんのかいな・・・同じ号に呉から陸上自衛隊車両を積んで出港する記事と写真が掲載されとるのが季刊誌のスパンの長さを痛感するで。この艦隊のうち「おおすみ」はこの任務の前は伊豆大島のこれまたシャレにならん甚大な被害で災害派遣で出動。横須賀と伊豆大島の間を警察、陸上自衛隊、東京都などの車両を積んでは運び、運んでは降ろし、搭載している2機のLCAC(高性能ホバークラフト)もフル回転。ほれでやっと大島の災害復旧が峠を越えたと思うたら、今度は台風30号、しかも国内やのうて、フィリピン。そもそも12月に台風なんておかしいで。やっとレイテ島もメドたったとやっと母港呉にもっどきて、あの釣り船との事故になった。左マキメディアは忙しすぎて、休むまがないから、サボタージュやったんやなんてとんでもないことをこくとこもあった。あの「あたご」のときは2人なくなり、いまに至るも発見されてないが、あのときも「あたご」が一方的に悪いと、名ばかりの専門家シロートがほぼ全メディアで鬼の首とったみたいな大騒ぎであった。確かに二人もなくなり、「あたご」のほうが比べ物にならんぐらい大きかったのは今回の「おおすみ」と同じやが、司法の場で、「「あたご」に過失責任はなかったと判断された報道は事故時に比べモンにならんぐらい、ちいさかった。今回も釣り船の生存者を海保がすぐにパイ(身柄はなした)したから待ち構えたメディアにすぐつかまったら、そりゃあ身内かばう発言するしかないやろ。せやけど時が経つにつれ、釣り船があの巨体の「おおすみ」の艦影に、警笛までまったく気がついてなかったというのがわかり、当初「おおすみ」側の責任追及しようとしてたメディアも知らんぷりになったようである。他には特集が対空戦闘入門、とかく現在の海戦は対空戦闘が主流、前の大戦も艦対艦の海戦より戦いを決したのは航空機。しかし現在はミサイル、攻撃機はそれを遠くまで運ぶ・・・・だけやないが、それに大砲も対空戦がメイン。機銃はもう目で見れる小型不審船相手ぐらいなんてことを親切丁寧に解説してくださる。さらに付録は世界の艦船ならぬ「日本の艦船」、そのうちの2月分は海上保安庁である。