ストライク アンド タクティクル マガジン
9月号

ストライク アンド タクティクル マガジン 9月号
■発行(株)SAT マガジン出版
■定価 1600円(税別)

今回の連載「宮嶋茂樹写真館」はウクライナ情勢、というか大統領選挙をはさんだ1週間の記録である。というても掲載された写真は選挙当日の1日分のみ。最初のカットと似たのが3枚目ぐらいにも使われており、ほかにも毛色の違うシブイのがなんぼでもあったのに・・・。ウクライナ紛争はマレーシア航空の撃墜等今だ混迷を深めておるが、そういう意味じゃあまり腐らない、息の長いテーマになるたろ。ワシはウクライナ訪れたのは学生時代のまだウクライナがソ連の共和国のひとつだった頃、そのころから皆おおぴらに公言してなかったが、ソ連のなかでも一番独立を求めていた。まあそれはウクライナの歴史からしてなんやが、ウクライナはソ連側ではなく、枢軸側に多くの義勇兵が参加し、ノルマンディーでも戦っている、がウクライナ歴史となったら本が何冊も書けるが近代史ぐらい知っとかんと、今回のロシアによるクリミア半島併合も理解しにくいが、チェルノブイリ原発事故にもさっぱり関わらず、今まできた。ほんまは個人的な理由で行きたくとも行けんかったんやが。四半世紀ぶりにウクライナ行く前にワシも写真展ややったばかりのキャノン・サロンで中筋純氏の写真展観た。テーマは廃墟シリーズやが、中筋氏はチェルノブイリをライフワークにされている写真家なので、ウクライナへはしょっちゅう行ってるはずである。それを期待しとったわけやないけど、これから久しぶりにウクライナ行く身としてはメインの展示も質の高い作品ばかりやったが、会場に置かれていたキエフ暴動のポートフォリオのほうが目を引いた。3冊ほど置かれていたが、どれも本職の報道カメラマン顔負けのシブイ作品ばっかである。チェルノブイリに通うたびに目をひいた日常がこのようにシャレにならんとこまで非日常化していき思いいれもかなりあったのであろうが、暗い場面のスローシャッターが上手い。撮り方はどちらかというと、欧米のマガジンフォトグラファーに似ているが、ここまでボリュームあると、見ごたえあった。「カメラマンはライト・タイム(ベストタイミング)にライト・プレイス(いい場所)にいなければならない。しかしそれが一番むずかしい。」これはワシのつくった座右の銘やが、まさにそれを痛感させられた作品であった。あの暴動で親露の前大統領はモスクワに逃れ、ロシアによるクリミア併合に至り、ウクライナ東部の親露派の住民も刺激され、それを陰に日向にロシアが支援し、現在の混沌に至るんやが、そのきっかけになった一国の首都を壊滅しかねんほど大規模な暴動であった。ほかには菊池雅之氏の離島奪還はワシも掲載写真が撮られたシーンに立ち会っていた。が同じ場所に立っていてもカメラマンが違うとこうも撮り方が違うもんかと、勉強になった。ワシのは菊池氏より一絞りはアンダーで重厚感を強調したがるが、菊池氏はぜんぶ適正露出。ドーランを塗った西部方面普通科連隊の隊員たちの表情のデティールもよく分かる。