正論 9月号

正論 9月号
■発行産経新聞社
■定価780円(税込み)

今月の連載は台湾での抗日戦戦勝70周年記念軍事パレードを紹介させてもろた。抗日戦戦勝70周年といえば、台湾より中国大陸の中国共産党が仕切る戦勝70周年のほうが何や本家みたいになっとるが、どっちかというと、というより、日本がポツダム宣言受諾した、つまり無条件降伏を受け入れたのは中国共産党政権やなしに、当時大陸にあった蒋介石総統率いる国民党政権やったのである。台湾の戦争というたら前の世界大戦より、毛沢東率いる共産党軍との内戦のほうがずうと大きいのである。せやかてそうやん、日本との戦で多くの犠牲者だしたが、それでも勝ったのである。替わって国共内戦は敗走、大陸でのすべての権力、権益、全財産も失ったというか、残してきて、台湾に渡ってきたのである。持ち出せたのは故宮の展示品ぐらいやったのである。だから台湾での戦争イベントというと、国共内戦ばっかやったのに、今年戦争終わって70年になって、大陸の恨み骨髄の共産党政府がいきなり70周年やるとなり、「ちょっと待つたれ、本家戦争に勝ったのはわしらやないけ!」といいたくなった焦りはわかるが、台湾は蒋介石の「徳を持って恨みに報ず」で日本に対するすべての倍賞を放棄したぐらい親日やったのに、対しいまの総統はアメリカナイズされすぎや。そんな今の台湾やが、ワシ実は台湾これが初めてやったのである。10年以上前、週刊文春編集部に常時6,7人のカメラマンが常駐していたころ、年に一度の慰安旅行がよく企画され、温泉行ったり、韓国観光旅行したりしていた。まだ故渡辺克巳カメラマンや故新玉元司カメラマンがお元気やった頃のことである。そのときも台湾旅行行って、旨いもん食ったり、按摩されまくったりしたらしいが、その台湾旅行だけ、わし行かんかったのである。台湾全土を襲った大地震も、この70周年行事直前におこったレジャー施設での粉末爆発事件も取材行かず、かつてのアメリカみたいにわしには縁が薄い国やったのである。中国共産党政府のインネンで我が国はそんな台湾と正式な国交がないため、代表部に取材申請かけたら、台湾への取材ビザの必要もなく、国防部の取材許可もまあ書類はだいぶ用意したが、認められ、単身でかけた。初めての台北で、ネットで予約したホテルに窓はなかった。まるでラブホみたいやが、ないのは窓だけやのうて、夕食とれるようなレストランもなかった。駅前のエエロケーションなんやが、バーも見つからんし、結局日本の居酒屋チェーンで日本酒飲むはめになった。