独仏伊加露ポーランド、トルコ合作映画
「消えた声がその名を叫ぶ」宣伝チラシ

独仏伊加露ポーランド、トルコ合作映画「消えた声がその名を叫ぶ」宣伝チラシ 独仏伊加露ポーランド、トルコ合作映画「消えた声がその名を叫ぶ」宣伝チラシ
■配給ビターズ・エンド

おのれの不勉強、無知、無関心を痛感させられた2時間18分であった。この作品を監督した、トルコの若き巨匠、ファティ・アキンやこの映画のテーマともなったアルメニア人の虐殺事件にもとんと無知であった。とはいうものの、当事者のアルメニア人はもちろんロシア人はじめ旧ソ連邦の共和国の国民で知らんものはおらんぐらいである。かくいう不肖・宮嶋もアルメニアもアルバニアにも行ったことない。アルバニア人はコソボでしこたま付き合ったが、アルバニア人はイスラム教徒、アルメニア人はあの地域で数少ないキリスト教徒なんて、この映画観るまで知らんかった。ただこの監督、加害者側といわれているトルコ人である。周囲からもアルメニア人問題には手を出すなと止められたという。しかも時おりしも日本トルコ友好の合作映画「海難」がヒット上映中の折である。実はトルコの片思い的であるが、トルコは極めて親日国家といわれてるいる。例の東郷平八郎元帥を偲んだトーゴービールもある。ただわしトルコ大震災の取材で神戸の仮設住宅トルコまで運ぶ海上自衛隊の輸送艦部隊に同乗して、イスタンブールに入港したことある。そりゃあ入港歓迎行事では一万人以上の犠牲者出た直後やというのに、そりゃそりゃあ大歓迎やった。そのイスタンブール入港時、その話題のビールを実際見た覚えがあるが、それトーゴー・ビールだけやなく、提督ビールのひとつ、他にもネルソンやの海軍の提督をラベルにしたもので、しかもフィンランドがオリジナルというオチまでついた。しかしトルコが親日的にはかわりないが、それでも全員てなわけでない。そりゃあわしもトルコのは一度観光省の招待で黒海ツアーまでゴチにったが、先日シリア取材した横田徹氏は帰りのトルコ再入国のさい、地元百姓の落ち武者狩りにあい、散弾銃で殴られ、有り金強奪されている。さてこの映画の内容であるが、そういうわけで大感動を呼ぶ壮大な人間ドラマである。2時間以上、トルコから始まって、ヨーロッパ、キューバ、アメリカと大陸をまたにかけた壮大な旅でもあるが、それをささえたのは・・・まあこれぐらいして、特に前半は第一次大戦が舞台で、主人公一家は戦禍にまきこまれる。まあ体調を整えてから、スクリーンに向かわれることをお薦めする。