ストライク アンド タクティカル マガジン 
7月号 No.75

ストライク アンド タクティカル マガジン 7月号 No.75
■発行 (株)SATマガジン出版
■定価 1600円(税別)

今回の連載は熊本大震災の自衛隊、警察、消防活躍の作品を掲載させていただいた。わしもカメラマン生活長いが、初めてや、震度7.3の「余震」を経験したのは。しかし国の内外で大災害みてきたのはほんまである。人の不幸があるたびにそこに突如現れる我らの無礼は百も承知で言わせていただくと、今回の熊本ほど、被災された人々のイライラが募った所は無かった。わしは実は気象庁が14日の地震は本震やなくて前震でした・・・なんちゃって・・・の無責任な予知を鵜呑みにしてまあ次の日午後からでもゆっくり行ったらええわ、締め切りまで時間あるし・・・と15日の最終便で熊本に入った。市内のやっとこさ空室を見つけたチェーンのビジネスホテルにレンタカーを駐車しようとしたら、契約駐車場というのが結構遠く、結局ビルの隙間のコインパーキングに停めた。ビジネスホテルは前日の前震のためエレベーターが使えず、5階のフロントまで荷物を階段登り、運び上げた。明日は早朝から急がしなるわと、荷をとく間も惜しみメシ食いに出て、日付が変わるころホテルに帰って機材の点検しとるまさにその最中に本震に襲われ、ほんまに死を覚悟したが、それから延々続く余震にびびりたおされつづけた、フロントのにいちゃんが各部屋たたき起こし避難所への避難を誘導しとる責任感にあの韓国のフェリーの無責任船長なんぞ比較にならんと感心した。一階の出口にも名簿を手にしたフロントのねえちゃんが点呼とっており、避難所までのみちのりを教えてくれたが、となりの隙間にレンタカー停めてたので、そこで夜を明かした。もちろん真暗い通りを絶望感につつまれ、ぞろぞろ歩き続けるしかない群衆も取材したが、やっぱりビルの谷間で余震に一晩中襲われ続ける恐怖をまぎらわすためでもあった。よく早朝は南阿蘇村めざしたが、どのルートも土砂崩れと、道路の崩壊や倒木で閉鎖、登山での取材も覚悟したが、14時ごろなんとか入れた・・・が、道中はきつかった・・・体力的というより、精神的に。東北とちがい早くから不届きな盗人や詐欺師が被災地に出没したこともあり、またわれら・・・というてもテレビ局の中継車がガソリンスタンドで割り込みするわ、避難所で大声で中継したりで無神経な同業者のせいで我らに対する風当たりのきついこと・・・特に消防団の若い衆から目をつけられこずきまわされた。被災した方々の気持ちは察して余りあり、いまだ不安な夜をすごす方々の苦難からするとへでもないことやが、わしらもこれからは災害現場での取材姿勢を考えなおさなあかんときやで。