「世界の名鑑」新シリーズ J Ships特別編集 イカロスMOOK
 海上自衛隊

「たかなみ」型「むらさめ」型護衛艦 

「世界の名鑑」新シリーズ J Ships特別編集 イカロスMOOK 海上自衛隊「たかなみ」型「むらさめ」型護衛艦
■発行イカロス出版(株)
■定価1,713円(税別)

さすがミリタリー専門誌、DD(汎用護衛艦)「たかなみ」型護衛艦で写真集なみのクオリティーでMOOKとはいえ、単行本出してしもうたんのである。今年出版されたというのに、わしは2011年に「むらさめ」型護衛艦の「きりさめ」がなんと敵国である中国のしかも原潜までようする北方艦隊のいる青島に親善のため訪問したときの取材である。わし正直いうてこの原稿と写真依頼されことも忘れていた。なんちゅうても6年前の原稿やで。さやけど取材したときのことはよう覚えている。再びなんちゅうても中国やで、しかも日本人と犬はお断りの軍事基地取材やで。かの国では無垢の日本人がカメラを出しただけで、スパイの疑いかけられ、非公開の政治裁判にかけられ、何年もぶちこまれているのである。というわけで、北京の日本大使館の駐在武官の方々に手をまわしていただき、報道ビザを発給してもらった。これなかったら、中国の軍事基地なんか絶対入れん。てなプロセスで青島にむかったが、んまあ寒いこと。気温もわしらにたいする中国側の態度も。あげく帰りの全日空便搭乗前には保安検査でデュポンのライターが出てきた。そりゃあそやろ。愛用のライターやイラクでもアフガンでもこれで一服してきたんや。それが機内持ち込み不可やと。行きの成田ではもちろん機内持ち込んだで。かえりはあかんて。全日空の地上職員いわく、3日前に規則が変わったとのこと。ほんなら船便で別送してくれ、それもあかん。郵送、それも違法やて。そやったら中国人はどうやって喫煙具を持ち出しとるんやと、聞いたら、持ち出せないはずやて。ウソに決まってるやん。「今度青島きたときにお返しします。」といわれ、預り証ださせたが、今に至るもいってないので、いまだわしの手元にもどってない。いまごろはその中国人職員のものになっとるはずやろ。ホンマスプールアン環礁でやった手口を日本人カメラマンのライターでも使って中国のものかいな。とまあ後味超悪い取材であった。が、わしはこの「むらさめ」型護衛艦とは縁が深い。はじめての本格的戦闘艦取材が1998年のリムパック、環太平洋合同訓練でハワイ沖で、この「むらさめ」にしばらく同乗し、逆行でのハープーン対水上艦ミサイルの実弾発射の瞬間をモノクロで撮った代表作まで残している。それ以降も海上自衛隊はインド洋沖、クウエートへのイラク派遣部隊の海上輸送とこんぼ「はるさめ」型護衛艦をほとんど常時海外に派遣しつづけて、今もアデン湾沖の海賊対処水上部隊として、この「はるさめ」型護衛艦をずうと派遣しつづけている。それくらい多目的でサイズも手ごろで使い勝手がよく、信頼性が高い護衛艦のなかの護衛艦やったのである。わしもジブチには3度も足をはこんで、水上部隊の取材したが、護衛艦2隻はいっつも出動状態、艦体はさびが浮いても塗装しなおすひまもなし、帰国したあめクラスはまるで実戦経験してきたような満身さびがでていたもんである。その「はるさめ」型も1998年当時は最新艦やったが、いまは20年齢の軍艦としてはじゅうぶんばばあ船。現在は「はるさめ」型のいわゆる「あめクラス」にかわって、和製イージスともいわれた対空レーダーとデータリンクシステムを搭載して、ちょいとトップヘビーに見えるが、本格的にスティルス性能を意識したシルエットになっている。さらにその「あきづき」型の進化型がこないだ長崎の三菱造船所で進水した「あさひ」型護衛艦であった。