正論 12月号

正論 12月号
■発行産経新聞社
■定価840円(税込み)

今回の連載は中部方面隊創設57周年に展示された新兵器16式機動戦闘車、別名装輪戦車について述べさせてもろた。奇遇・・・というわけでもないが、中部方面総監には前防衛大学幹事、岸川公彦陸将が就任したばかり、岸川陸将とは昔からよう知った仲やが、このたび、2府16県、日本の面積の3割を管轄する中部方面隊の指揮官になられた。まあ機動戦闘車は8月に富士の裾野で繰り広げられた陸上自衛隊富士総合火力演習にも射撃はせんかったが、一般にも披露されたばっか、関西では実質初お披露目であった。いやあ8輪とはいえ、キャタピラとは設置面積がかなり小さいから、命中率はどないやろか?とも不安をおぼえたが、そもそももはや21世紀、戦車ですらスラローム走行しながら射撃でけるのである。当然この機動戦闘車も公式にも走行射撃できることなっている。せやけどこの機動戦闘車の一番の大きな長所はその名のとおり、機動力と戦闘力双方を持ち合わせた能力である。当然74式戦車と同じ105ミリライフル砲という火力ありながら、時速100キロ以上という機動力プラス8輪駆動の悪路走破性、しかも74式戦車も含め、日本の戦車は輸送機にも、LCAC(高性能エアークッション艇)にも載せられんかったが、この機動戦闘車は双方載せれるっちゅうのである。せやからこの16式機動戦闘車は74式戦車の後継扱いやのである。当然90式戦車の後継のあくまで主力戦車は10式戦車っちゅうことになるはずなのである。わしはこの機動戦闘車開発のころから、というても報道公開された、防衛研究所のころから、注目していたから、今回のような国民へのお披露目は喜ばしい限りやが、開発、公開当初はこのご自慢のぶっといタイヤがミシュラン製や韓国製でずいぶん失望したが、今回はブリヂストン製を履いていた。タイヤといえども侮ることなかれは、雪道運転したことのあるドライバーなら誰もが実感したことああるはずやが、陸上自衛隊第1師団にある練馬駐屯地では整備の女性自衛官がタイヤ破裂事故で亡くなるという悲惨な事故もあったぐらい、重大な問題なのである。タイヤはキャタピラと違い接地面積が段違いに小さいのであるから。