夕刊フジ 3月29日号

夕刊フジ 3月29日号 夕刊フジ 3月29日号
■発行産業経済新聞東京本社2018
■定価140円(税込み)

今回の連載は、不肖・宮嶋のこの業界でのささやかな自負について、控えめに自慢させていただいた・・・とここまで書き、おのれの愚かさ、浅はかさにやっと気がついた。これなら、ブラウン管や、新聞紙上で、「やれ命がけやの「いつも弱者の視線での」やとたいしたことない武勇伝をひけらかす、大ジャーナリストの皆様と変わらん神経構造やと。オウム事件では人が死んでるのである。大量に。オウムの重大犯罪のきっかけとなった「坂本弁護士事件}でさえ、まだ赤ちゃんだった龍彦ちゃんを含め三人、地下鉄サリン事件一件だけで、6,000人以上の死傷者を出してるのに、その責任の一端がある当時のメディアに関わる一人として、何が自慢や、何が自負やと。だから今になってオウム事件の風化やの「死刑執行で真相は闇に消える」やの嘆くのを見て、むかつくのである。オウムがブイブイ言わせてたころはホンマに悔しかった。あいつらの凶暴性を声高に訴えても、大メディアはもちろん、わしら週刊誌媒体の人間の中ですら、オウムにシンパシー持ってたやつがおったのである。ほんま悔しかった。紛争地取材でも事件取材でも、ほんまに死にそうになったジャーナリストはそのことを声高に言わんもんである。わしがオウム取材で当時いっしょに仕事した江川紹子氏は自宅の鍵穴から毒ガス(確かホスゲンやったかと)撒かれたり、石垣島では新見死刑囚から「月夜の夜ばかりやない」としゃれにならん脅し受けたけど、ブラウン管でそのことを自ら言わんやんろ。それでも江川氏はオウム信者に寛大やった。麻原はじめ幹部には厳しかったが。