ストライク アンド タクティカル マガジン
11月号

ストライク アンド タクティカル マガジン 11月号
■発行(株)SATM
■定価1,728円(税込み)

今回の連載は2年後ごとの恒例のRIMPAC(環太平洋合同訓練)での実弾射撃や。いっやあ今回の取材はつらかった。目新しい訓練ちゅうたら陸上自衛隊の対艦ミサイルの実弾射撃、これがまあやっかいやった。従来通りのヘリ空母型護衛艦「ひゅうが」からの対空ミサイルも実弾射撃行われたがこっちもまあハプニング。まずカウアイ島かのPMFR(太平洋ミサイル発射施設とでも訳せるか)から発射された高速移動中の対空標的を「ひゅうが」が一時レーダーロストしたこと、これが艦内放送で流れ、あせった。まあこれがわしの失敗の遠因やろ。撮影自体はまあ2年前には成功したんで、おんなじや。ランチャー近くにリモコンカメラ、艦橋からは前回より望遠で肉眼での直接撮影。タイミングもさほどむずかしくない。いくら高速といえど。護衛艦のレーダーに補足されたら、コースも射撃までの時間も大体わかるし、近くなったら秒読みまでしてくれる。いや秒読みなくても今のVLS(垂直発射システム)やと発射直前にランチャーのふたがぱかっと開くからそれをレンズ越しで確認してから、高速連続シャッターを切り続けたら、今の秒間5コマ、ソニーやと20コマや。ベテランのカンよりよっぽど当たりが撮れる。しかし、失敗したのである。もう実弾射撃や。その瞬間まで、むちゃくちゃ緊張して、集中しとんである。ましてや2年に一回あるかないかのチャンスや。それでふたはぱかっと開いて、鬼のようにシャッター切り始めて・・・・何も起こらんのである。(不発や。)とほっと息吐いて、カメラを置いたその瞬間ドッカーンや。えっ?何起こったん?まわりを見渡したら、またドッカーンと2発目が・・・集中しとっただけにタイミングずれて頭真っ白になっとったんや。さやけど、撮影前リモコンカメラしかけるとき、何番ランチャーからとちゃんと説明あった。そのとき「まず使わないと思いますが」と念のため「不発のときの予備が9番に」とあったから、当然それも頭にいれとかんといかんかった。とほほ・・頭かかえてるひまはない。同じくカウアイ島から陸上自衛隊の対艦ミサイル実弾射撃撮影できるのである。事前のブリーフィングではランチャー近くに無人だったらリモコンカメラ置けるというので、準備したでぇ。いつものアメリカ製のポケットウイザードというブランド。これで2年前の同じくRIMPACでヘリ空母型護衛艦「いせ」からの滞空ミサイル射撃ばっちし撮れたのである。ただしあのときは障害物あったとはいえせいぜい100mや。このポケットウイザードはサッカーのゴール両サイドにカメラしかけても余裕で反応する。が、カウアイ島ではカメラは近く置けても、人間は1km以上はなれたとこから操作せなあかんかもしれんのである。それで考えたがな。有線では抵抗かかるし、第一ミサイル射撃するとこにケーブル1kmもはわすのは認められんわ。次にケータイや。しかしカウアイ島ではケータイ電波はいるかどうか分からんし、第一射撃前後はレーダーやら敵の妨害電波対策に強力な電波飛び回って反応するかどうかわからんやないか。それでたどり着いた結果、ある周波数帯の無線機であった。しかしそれをどうやってカメラのシャッターに同調させるか、またアメリカの電波法をクリアでけるかそんな政治的問題まで山積やった。だいいちそんな機械どこにも売ってない。特にケータイの同調は中東で爆弾テロに使われてるのと同じ構造や。設計図ひっぱっただけで、FBIに指名手配されてまうかもしれんがな。てなわけで、やっぱ市販品で捜したがな。それであるんや。カメラ用品プロ専門店に。しかし、在庫がニューヨーク。ただ出発まで時間あったから、業者間でなんとかホノルルの専門店に送ってもらい間に合い、撮影もスチールではワシだけが成功した。この相談には某全国紙にいながら射撃友でもある金玉堂とプロカメラマンご用達の専門店「銀一カメラ」に大変世話になった。その大成功のカットやが、本連載にも掲載されてるが、もうちっさい、ちっさい。これのどこが成功や、何いちびってるんやと思うなかれ、わしら、そんなことにまでこだわって仕事しとんや。